私たちの日常生活に欠かせない衣服のポケットですが、使用頻度が高いためにトラブルも発生しやすい部分です。トラブルの種類も破れや擦れ、形崩れ、ジッパーやボタンの故障など、さまざまな問題があります。今日は、ポケット周りのトラブルとその対処法を解説していきます。

●ポケット端の破れや擦れ
財布やスマホなど分厚くて重いものを入れるため、ポケットの入口部分に圧力がかかり、破れや擦れが発生してしまいます。最近は細身のスタイルのスーツが多いため、特にスラックスの後ろポケットに多いトラブルです。


織り目に沿ってLの字に修復しています。
着用による色褪せがあるため多少の色違いは出ていますが、そこまで違和感なく仕上げることが出来ました。


製品から抜き取った糸を使い一本一本織り込んで修復しています。こちらの生地は1枚仕立て周りの毛羽が(ダブルクロス)の生地だったため、生地の生地の間の縫い代から糸を抜き取っています。
着用によるスレでキズの周りも毛羽が少なくなっていますが、修復箇所は本来の毛羽がでることから多少風合い(色)の違いが出ています。
【予防法】
- 大きいもの重いものはポケット以外で:大きな財布や鍵、スマートフォンなどは、バッグに入れるなどしてポケットの負担を減らします。
- 定期的にポケットを空にする:使用後はポケットを空にして、形を整えておくと良いでしょう。
●ポケット内外の穴、裂け
ポケットに開く穴は、小銭や鍵などポケットに硬いものを頻繁に入れることが原因で起こります。穴修理はスーツなどは専門店に依頼するがベストですが、デニムなどカジュアルなものは自分で補修も可能なので、補修したデザインを楽しむのもよいと思います。


比較的新しい生地だったため色褪せもなく比較的綺麗に仕上がりました。


スウェード等のレザーの裂けキズの場合、レザー生地の厚みの間に針を通して糸で裂けた部分をつないでいきます。生地に毛羽があり、つないだ部分が馴染みやすかったため比較的綺麗に仕上げることができました。柔らかい革の裂けキズであればこういった修復が出来ますが、針が通せないような硬い革の場合修復が出来ない場合もございます。
【予防法】
- 固いもの、引っ掛けそうなものは別の場所に:鍵やスマートフォンなどは、バッグに入れるなどしてポケットの負担を減らします。
- 定期的にポケットを空にする:使用後はポケットを空にして、形を整えておくと良いでしょう。また寒い日にはポケットに手を入れたくなりますが、負荷がかかって破れの原因にもなります。
●かけつぎ以外の補修方法
かけつぎ以外での補修方法も様々なものがありますが、衣類の種類やキズの大きさ、場所などにより適したものを選ぶことが大切です。
- 手縫い補修:小さな傷であれば、似た糸や布を使って補強することが可能です。
- ミシンを利用した補修:ミシンたたきというミシンを使用し破れ・穴を縫いふさぐ補修方法です。かけつぎより安価ですが、痕跡が残る補修法なので、目立たない場所に利用されることが多いです。デニムの補修でもよく使われる他、ダメージジーンズなどデザイン的に利用されることもあります。※ミシンたたきをしてある箇所をかけつぎで修復する場合、ほとんどの場合で最初にできたキズよりも大きな範囲となるため、最初に修復方法を決めるときは十分ご検討ください。


縫ってあるところを手作業でほどいてから再加工しています。ミシンたたきの場合、ほどくと下の生地がボロボロになっており、大きく修復しないといけない場合が多々あります。結果的にはかけつぎで最初に依頼した方が小さく修復できて、費用も抑えられるのでキズを見つけたらまずはお気軽にご相談くださいませ。
まとめ
ポケットは使用頻度が高いためトラブルの起きやすい場所です。なるべくポケットを使用しないのが一番ですが、どうしても使ってしまうもの。キズができてしまったら早めに専門店にご相談ください。適切な補修をすることにより衣服を長持ちさせることができます。日常生活でこれらの技術を活用し、より快適なファッションライフを送りましょう。