かけつぎ職人が教える修理の実例と保管・お手入れの基本

春はセレモニーが多い季節。卒業式や入学式で着ようと着物を出してみたら、いつの間にか穴が開いていた・・・。 冠婚葬祭で着物を着たけれど思わぬキズや汚れができてしまった、どうしよう・・・。 そんな経験をされた方は、決して少なくありません。
着物は何世代にも渡って受け継がれる美しい日本の伝統衣装ですが、頻繁に着ない分、お手入れも怠りがち・・・。着物は絹やウールといった天然繊維でできているため、虫食いや生地の裂けなどのトラブルが起こりやすい繊細な衣類でもあります。
「もう着られないのでは?」とあきらめる前に、私たちかけつぎ職人の修理技術が役に立てるかもしれません。今回は、着物でよくあるトラブルの内容と、実際にあったかけつぎ修理の事例、さらに虫食いなどを防ぐ保管方法をご紹介します。
着物によくあるトラブルとは?
着物のご相談で特に多いのが以下のようなものです:
✅ 虫食いによる小さな穴
特に絹やウールの着物は虫に好まれやすく、保管状態によっては数か所にわたって虫食いが生じることがあります。
虫は生地そのものだけでなく、汗や皮脂、食べこぼしなどの汚れにも引き寄せられるため、着用後のお手入れが重要です。
✅ 生地の裂けや破れ
着物は折りたたんで保管するため、折れ山や袖山、裾まわりなど生地に負担がかかりやすい部分が時間とともに裂けてしまうことがあります。
古い着物やアンティークの反物では特に注意が必要です。
✅ 擦り切れ・擦り傷
帯下や裾、襟周辺など、体に接触しやすい部分は摩耗が進んで生地が薄くなり、最終的に穴になることも。
実際のかけつぎ修理事例
かけつぎ店では、さまざまな着物のトラブルを修理することができます。
◆事例①|虫食い穴(
参考価格:16,500円(税込)
修理内容:製品の表から見えない所より生地を2枚とって織り目に沿って四角に修復しました


◆事例②|柄部分の虫食い穴(留袖)
参考価格:18,700円(税込)※色付けがあることから金額が高めになっています。
修理内容:製品から同じ柄は取れないことから、シルクの白い糸で織り込みその後色付けをして仕上げています。



◆事例③|擦れキズ(色褪せあり)
参考価格:25,300円(税込)※色付けがあることから金額が高めになっています。
修理内容:製品から同じ柄は取れないことから、シルクの白い糸で織り込みその後色付けをして仕上げています。


(仕上がり具合に関してはお見積もり時に事前にお伝えいたしますのでご安心くださいませ)
着物の虫食いやキズを防ぐ保管・お手入れ方法
着物は修理だけでなく、「トラブルを未然に防ぐ保管方法」もとても重要です。
✔ 着用後は陰干しで湿気を取る
湿気は虫やカビの原因に。着たあとはすぐにタンスに戻さず、一晩陰干しして湿気を飛ばしましょう。湿気が飛んだら、折り目正しく長方形になるようにきちんと畳み、1枚づつ和服用のたとう紙に包んでから収納しましょう。タンスの引き出しには、良いきものほど湿気がたまりにくい上段にしまうのがポイント。きものと帯は別々にしまうのがベストです。
✔ 必ず汚れをチェックしてから収納
汗や食べこぼしは、時間が経つと虫食いや変色の原因になります。軽い汚れでもプロの和装クリーニングへ。
✔ 防虫剤・乾燥剤の併用
- 市販の和装用防虫剤を活用(※直接着物に触れないように)
- 乾燥剤と一緒に使うことで、虫やカビをWで防げます
- 使用期限も確認し、定期的に交換することを忘れずに

✔ たとう紙の定期交換
たとう紙は経年で黄ばみや湿気を吸収するため、2〜3年を目安に新しいものへ交換すると安心です。
着物の穴や破れは、まずは専門店に相談を
小さな虫食いやほつれでも、放っておくと大きな破れにつながってしまうことがあります。
特に着物のような繊細な生地の場合、市販の補修グッズではかえって生地を傷めてしまうことも…。
「これは直せる?」「捨てたくないけど目立つ…」「古着屋さんで掘り出し物を見つけたがキズがある」そんな時は、かけつぎ職人の無料相談をご活用ください。
ご相談・修理の流れ(全国対応)
- 【写真をLINEまたはメールで送信】
- 【無料でお見積もりをご案内】
- 【修復ご希望の場合、郵送または持ち込みで依頼】
- 【完成後に発送(全国対応)】
最後に|着物をもっと長く、美しく楽しむために
着物は、親から子へと受け継がれていく、大切な「生きた文化財」のようなものです。
だからこそ、もし破れてしまっても、「直して、また着る」という選択があることを、たくさんの方に知っていただきたいと思っています。
一枚の着物が、ふたたび袖を通される日を願って——
私たちは、かけつぎという日本の伝統の技で、そのお手伝いをこれからも続けていきます。
お気軽にご相談ください。