
ジョンスメドレーやクルチアーニなど、上質素材を使った服を愛する方へ
大切なニットを守るケアと修理のすすめ
ジョンスメドレーのハイゲージニット、ロロピアーナのカシミヤ、クルチアーニの美しい編地――。
「肌に触れた瞬間に違いがわかる」そんな上質なニットを選ぶ方は、きっと“着ること”だけでなく“育てること”にも価値を感じているはずです。
このブログでは、素材の良さを大切にしたい方のための、ニット製品のケアと修理の考え方をご紹介します。
素材を知るからこそ、できる修理がここにあります。
1. なぜこのブランドが選ばれるのか ― 素材とつくりへのこだわり
◇ John Smedley(ジョンスメドレー)
英国王室御用達の歴史を持つ、ハイゲージニットの名門。
シーアイランドコットンやエクストラファインメリノウールなど、最高級素材のみを使い、30ゲージの繊細な編み地に仕上げています。
熟練の職人による一貫生産で、まるで“編み”が肌に溶け込むような着心地が魅力です。
◇ Cruciani(クルチアーニ)
イタリアのニット専業ブランド。カシミヤやファインウールの糸を丁寧に編み上げ、滑らかで目の詰まった仕上がりが特徴です。軽くて柔らかいのに、型崩れしにくいバランス感。
一見シンプルな中に、素材と仕立ての精度の高さが表れています。
◇ Loro Piana(ロロ・ピアーナ)
原毛から製品までを自社で一貫管理する、世界屈指の高級素材ブランド。
ベビーカシミヤやビキューナといった希少な天然繊維を贅沢に使い、ふんわりと包まれるような着心地を提供します。
見た目だけでなく、肌に触れたときの感動が他とは一線を画します。
◇ CHANEL(シャネル)
ツイードの印象が強いブランドですが、シャネルのニットもまた非常に緻密で繊細。
カシミヤやメリノウールに独自の糸使いを加え、どこか遊び心を感じさせる“シャネルらしさ”を纏わせています。
ニットでありながらジュエリーのように存在感を放つ――そんな特別感が魅力です。
◇ Burberry(バーバリー)
英国伝統を守りつつ、現代的なスタイルに仕上げる技術に定評があります。
ニット製品も例外ではなく、ウールやカシミヤ素材で仕立てられたものは、洗練されたシルエットと高い耐久性を兼ね備えています。
トレンチコート同様、“長く付き合える服”として根強い人気があります。
◇ Hermès(エルメス)
レザー製品だけでなく、ニットにも一切の妥協を許さないクラフツマンシップが息づいています。
希少な天然繊維を使用し、織り・編み・仕立てまでが徹底された品質管理のもと行われ、まさに芸術品のような衣服に。
シンプルでも“違いが伝わる”ラグジュアリーを体現しています。
◇ Salvatore Ferragamo(フェラガモ)
靴の名門という印象が強いですが、近年はウェアも高品質。
ニットは、イタリアらしい色彩感覚と立体的な編み技術が際立ち、落ち着いた中にも華やかさを感じさせます。
カシミヤやウールを用い、ラグジュアリーながら実用性と日常性も意識した作りが支持されています。
2. 素材を活かすケアの基本
- 洗濯は“優しさ”がカギ
基本は専門のクリーニング店へ。どうしても手洗いする場合はニット用コース&ネット使用。中性洗剤で押し洗いし、平干しが鉄則です。 - 毛玉はこまめに対処
まずは毛玉ができない着方を。毎日の着用は避けて休ませることが重要です。着用後はブラッシングやニット用シェーバーでこまめに整えることで、風合いを長持ちさせることができます。 - オフシーズンの保管
通気性の良い袋+防虫剤で収納。湿気・直射日光を避け、ニットの型崩れを防止。細いハンガーでの保管や、ケースにつめこみすぎるのは避けましょう。
3. トラブルが起きたとき ― 修理という選択肢
どれだけ丁寧に扱っていても、ニットには以下のようなトラブルが起こることがあります:
- 虫食いによる小穴
- 糸の引っかけや引きつれ
- 目が飛んでしまったゲージの乱れ
- 袖口や裾のほつれ
当店ではこうしたケースに、**“素材の風合いを活かす修理”**を行っています。中でも、目立たない自然な仕上がりを目指す「かけつぎ」は、特に高級ニットに最適な手法です。
4. 修理事例のご紹介
▶ ジョンスメドレーセーター 切り傷


はさみやカッター等で切ってしまった切りキズです。糸がかなり切れていたのですが、糸馴染みが良い生地だったため比較的綺麗な仕上がりとなりました。
▶ クルチアーニ 虫食い穴 2ケ


製品の表から見えない所から糸を抜きとって修復しています。非常に細い糸でしたが、生地が柔らかく色褪せもほとんどしていなかったことから比較的綺麗に仕上げることが出来ました。
▶ ロロピアーナ カシミヤセーター


目立ちやすい色の生地ですが、非常に柔らかく上質な生地のため修復跡と本体の馴染みが良く、比較的綺麗に仕上げることが出来ました。
繊細で柔らかい生地は着心地がとても良い反面、虫に食われることがありますので、防虫対策をしっかりされることをお勧めします。
▶ シャネル ウールセーター


保管時にハンガーにかけていたことにより、負荷がかかってしまったことから穴になってしまっています。ハンガーにかけて保管する場合はニット用の滑りにくい物を選ぶと型崩れやキズの防止になります。
▶ バーバリー 首回り(V部分)のほつれ


着脱によって負荷がかかりやすい箇所になるため、このようにほつれてしまうことが多々あります。
左右それぞれほつれているため、2箇所分の金額となります。多少の凸凹感が出ていますが、修復せずにそのままにしておくとどんどんキズが広がってくるため、注意が必要です。
▶エルメス 糸引き


飛び出た糸を元の位置に戻して修復しています。今回は糸が切れていなかったため飛び出た糸をそのまま戻していきましたが、糸が切れている場合は製品から糸を抜き取って新たに糸を入れて修復します(糸引きの横にあるシミは後から除去しています)。
▶サルヴァトーレフェラガモ 首回りほつれ


首回り部分の繋いであるところがほつれてしまい、それをきっかけにリブ編み部分もほつれてしまっています。比較的綺麗に仕上がる箇所ではありますが、リブは目立ちやすい編みのため多少跡が出ています。
5. “服を直す”という選択が、上質を支える
高品質なニットには、流行や年齢を超えて愛される魅力があります。
その魅力を活かすには、“買い替え”よりも“丁寧に直す”ことが最も自然な選択かもしれません。
修理を通じて、素材の良さを取り戻し、また袖を通す喜びを感じていただけたら――
私たちは、そんなお手伝いをしています。
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「ジョンスメドレーのニットに小さな穴が…」
「エルメスのセーターの裾がほつれてしまった…」
そのようなお困りごとがございましたら、ぜひ当店へ一度ご相談ください