かけつぎとは、衣類などに生じたキズや虫食いを、元の状態に近づける修復技術です。直したいものを同じ生地や糸を用いて全て手作業で修復を行うため、様々な種類の品物を修復することができます。今回は、かけつぎで直せるものってどんなもの?の疑問にお答えします。
【日常的に着るもの】
1. スーツ(ジャケット・スラックス等)
当店で一番依頼が多いアイテムです。多くの人が毎日着るものだけにトラブルも多いです。これらには様々な素材や織り方等ありますが、ほぼどの素材にも対応しています。かけつぎの得意なもののひとつです。


ポケット口は負荷がかかりやすいため破れることが多い箇所です。大きい裂けキズでしたが比較的綺麗に仕上げることが出来ました。キズは大きくても生地によっては綺麗に仕上がることも多いのでお気軽にご相談くださいませ。


この部分が擦れている場合、穴の周りもかなり生地が薄くなっていることから大きく修復する必要があります。こういったチェック柄や起毛している素材は馴染みが良く、比較的に綺麗に仕上がることが多いです。
2. ニット製品(セーターなどの衣類、マフラー等の小物)
ニット製品も多様な製品のため、衣服から小物まで様々な品物のご依頼があります。キズや損傷も個性がありますが、修復箇所が比較的綺麗に仕上がるものが多いのも特徴です。ニット製品のキズは諦めず直すのもよい選択です。


編み方や糸の素材、色によって仕上がり具合は変わりますが、こういったウール素材の場合、品物から糸が取れれば、比較的綺麗に仕上がることが多いです。白やベージュなど色の淡い生地、光沢のある生地、透け感がある生地は仕上がりが目立つこともあります。




製品の端から抜き取った糸を使い、織り込んで裂けた部分を繋いでいます。若干の線は入っていますが、ほとんどわからない程度に仕上がっています。
3. アウターウェア(コート、ジャケット、ダウン)
アウターウェアは季節商品で、持っている数が少ない人も多いことから短期間の着用頻度がとても高いウェアです。屋外で着用するので、雨や風や雪などにさらされたり、脱着の頻度も高いのでいつの間にかキズや汚れがついてしまいます。またオフシーズン中は長期に保管されるため、虫食いやカビなどのリスクが高いアイテムでもあります。冬に役目を終え、春に持ち込まれることが多いですが、秋に出してみたら虫にやられてた!のように冬直前もご依頼が多くなる品物です。


表面だけが食べられている虫舐めはもちろん、穴があいていても修復できます。虫食いが一か所見つかると、他にも複数個所見つかることが非常に多いため、注意が必要です。

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ダウンでも表面がウール素材のものはスーツなどと同じように修復可能です。修復に使用する布は、前ポケットの中から取ることが多いです。ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は修復が難しい場合もありますので、事前にお問い合わせください。
4. シャツ、ブラウス、Tシャツ
これからの季節に活躍するTシャツやブラウスは、クールビズなどのオフィスでの使用や、お洒落にもカジュアルな日常の場面でも頻繁に着用されるため、汚れやシワ、キズなどトラブルはつきものです。お気に入りの一着も多いため、キズなどを見つけたら早めに対処したい衣類です。


ハイブランドのTシャツの破れ修理はご依頼が非常に多いです。
生地が薄いものが多いため、ちょっとした引っ掛けで穴になってしまうことがあります。
仕上がりが目立ちやすい生地ではありますが、他の修理方法と比べると綺麗に仕上がるためお勧めです。
3. スウェット、トレーナー
カジュアルなアイテムですが、ハイブランドも多数あります。また柄が個性的なものが多いので、ビンテージや個人のお気に入りなものとして持ち込まれるものが多い印象の商品です。素材の特性上、出来たキズが目立つ事が多いため、自分で直すことが難しいアイテムでもあります。


比較的小さいキズだったので、製品から抜き取った糸を使い部分的に編み込んで修復しています。
経年による色褪せがあることから修復箇所は多少色違いが出ています。
色違いの可能性がある場合は修復前の段階でお伝えいたしますので、ご安心くださいませ。
【特別な時に着るもの】
4. 着物
和服に代表される着物。着物は絹製品が多く、繊細な色や柄のものが多いため、特別な扱いが必要です。熟練した職人により修復します。


着物の場合は襟先や袖下の縫い代から布を取り、修復することが多いです。数ミリ程度の非常に小さい穴の場合は、製品から抜き取った糸出修復することもあります。
5. フォーマルウェア
礼服や、ドレス、セレモニースーツなどのフォーマルウェアもご依頼があります。着用頻度は少ないですが、保管期間が長いため虫食いや、気が付かなかったキズや汚れが意外とあります。デリケートな素材が多く高度な技術がいる修復ですが、他店では受け付けてもらえなかったお品物でも当店にて直すことが出来た事例が多くあります。


礼服は着用機会も少ないため、いざ着ようと思ったら穴が開いていた、ということが良くあります。
今回は1か所だけだったため良かったですが、全体に食われてしまっていることもよくあるので、定期的に虫干しやクリーニングに出されることをお勧め致します。
6. ビンテージ
最近高騰しているビンテージウェア。Tシャツからコートまで様々な種類が持ち込まれます。一点ものが多く、ヴィンテージを扱うお店の方から個人の愛好家までご依頼があります。とても小さな穴でも依頼があることが多く、皆さんの思い入れを感じるアイテムですね。


ヴィンテージTシャツは経年による色褪せが出ていることが多く、色違いが出てしまうことが多いのです。こちらの生地はそこまで色褪せが無かったため、比較的綺麗に仕上げることが出来ました。
仕上がり具合に関しては修復前に事前にお伝えいたしますので、お気軽にお問合せ下さいませ。


製品から抜き取った糸を使い、部分的に編み込んで修復しています。着用による色褪せがあるため、色違いが出ていますが、最小限で修復させていただきました。
6. 小物、特殊素材
当店は服のご依頼が多いですが、服以外にも布製品や毛糸の小物などもご依頼があります。お気に入りのマフラーや手袋、スカーフやショール、布や絹の鞄など糸がつってしまったり、小さなキズでも見つけると意外とショックなものです。こんなものも直せるの?と思ったものでもとりあえずご相談くださいね。


こういった生地はとても繊細なため、とがったところに引っかかったりすることで、糸が引けてしまうことがあります。引けた糸を少しずつ戻して修復していきますが、目立ちやすい生地のため、引けを戻していっても、線は多少残ってしまいます。また、今回のキズは一部欠損があったため、修復跡に目立ちが出ています。ご依頼いただく前に飛び出た糸を切らないように注意してください。


レースが破れた場合は製品から共糸を取り、その糸を使って破れた部分を似たように繋げていきます。
綺麗に仕上がることが多いのでおススメです。欠損部分が激しい場合は製品から取った布や似た生地をはめ込んで修復する場合もあります。


裂けている部分の間に薄くのりを塗り、表から見えないよう糸で繋いで修復しています。
つなぎ目に多少の線は残りますが、他店では断られることが多いキズのためお勧めです。
いかがでしたか?かけつぎでも修復が難しいものや、どうしても修復跡が目立ってします素材もありますが、比較的どんなものでも扱えることが多いです。こんなものでも直せるかな?と迷った場合でも一度当店にご相談ください!
今回は全て当店に修復依頼をいただいた事例をご紹介しました。皆様がお気に入りのものと少しでも長く一緒にいられるようお手伝いできれば幸いです。