
お気に入りのニットに「ぴょこん」と飛び出た糸を見つけて、がっかりしたことはありませんか?
それは「糸引き」と呼ばれるトラブルで、ニット製品ではよくあるものです。ちょっとした不注意で起きてしまいますが、放っておくと穴になったり、見た目がどんどん悪くなることも。
この記事では、ニットの糸引きの原因から予防法、応急処置、そしてプロによる修理についてまで詳しくご紹介します。大切なニットを長く着るために、ぜひ参考にしてみてください。
糸引きとは?なぜ起きる?
「糸引き」とは、編み目の一部の糸が何かに引っかかって飛び出してしまった状態のことです。ニットはループ状に糸を編んで作られているため、少しの引っ張りでもそのループが伸びてしまいやすいのです。
よくある原因はこちら:
- バッグの金具や腕時計との摩擦
- ペットの爪や家具の角に引っかけた
- ネットに入れず洗濯した
- 着用中にどこかに擦れた
一見小さなトラブルに見えますが、放置していると編み目がどんどん崩れてしまうこともあるので注意が必要です。
糸引きを防ぐためにできること
完全に防ぐのは難しいですが、以下のような心がけで糸引きのリスクを減らすことができます。

着用時の注意点:
- バッグの金具やアクセサリーがニットに当たらないようにする
- ペットと遊ぶときはニットを避ける
- 外出時は壁や柱との接触に注意する
洗濯・保管のコツ:
- 洗うときは必ずネットに入れて、裏返しに
- 平干しで乾かす(ハンガーは型崩れや糸引きの原因になります)
- オフシーズンは防虫剤と一緒に丁寧に保管
少しの気遣いで、ニットの寿命はぐっと延びます。
糸引きが起きてしまったときの応急処置
「やってしまった!」というときに、自分でできる対処法もあります。
応急処置のポイント:
- 糸は絶対に切らない!
- 無理に引っ張らないでください
- かぎ針や縫い針を使って、飛び出た糸を内側に引き込む
- 糸が戻りにくい場合は、針で糸を少しずつ通して整える
ただし、応急処置はあくまで「一時しのぎ」。目立たなくはなっても、完全に元どおりになることは難しいこと、修復を依頼する際に支障が出る可能性があるため大切な一着なら専門の修理をおすすめします。

【修理事例】自然な仕上がりのプロの技術
当店では、糸引きの修理を手作業で丁寧に行っております。以下は実際にご依頼いただいた事例です。
事例①:ウールセーター


糸が切れていない状態であったこと、馴染みが良い生地であったため比較的綺麗に仕上げることが出来ました。
事例②:薄手のセーター(糸切れあり)


引けを戻した後、欠損している部分に製品から抜き取った糸で編んで修復しています。
編みが細かいため、多少の編み目の歪みが出て、多少線の跡がでています。
事例③:薄手のセーター(糸切れなし)


糸は切れていない状態ですが、飛び出てしまっています。(上のキズは内側に飛び出ています)
透ける生地のため、着用時にうっすら線が残りますが、そこまで目立たずに仕上げることが出来ました。
事例④:柄のセーター


【参考価格】11,000円(税込)
糸が引けたことにより、柄が歪んでいます。引けた糸を正しく判断していくことでほとんどわからない状態まで修復することが出来ました。引けている糸の判断を間違えると、柄のズレが更にひどくなるため、ご自身で試す前にそのままの状態でご相談いただくことをおすすめします。
事例⑤:ニットジャケット(ポリエステル素材)


ポリエステル素材の、非常に細かい糸で編まれたジャケットです。ぱっと見だと一般的なスーツ生地と区別がつきませんが、伸縮性が高く、しわにもなりにくい等の特徴があります。
こういった生地の場合、糸が欠損している場合は跡が目立つ(または修復不可となる)場合が多いのですが、糸が綺麗に引けていたこともあり、目立たずに修復することが出来ました。こういった特殊生地の場合は、糸の引け方によっても仕上がりが大きく変わってくるため、まずはお写真にて判断をさせてください。
プロの修理でできること
当店では、「かけつぎ」の技術で、問題のある糸を正確に判断し完全手作業による修復を行っています。
- 飛び出た糸を元の位置に戻していき、表面を整える
- 欠損がある場合は製品から抜き取った糸で部分的に編みなおしを行い、できる限り元の状態に近づける
ニット製品は修復後の仕上がりが良いことが多く、高級素材やお気に入りのニットでも安心してご依頼いただけます。
おわりに|糸引きは放置せず、早めの対処を
糸引きは、ちょっとした不注意で起きてしまいます。でも諦める必要はありません。早めの対処と、プロの修理によって、また長く着ることができます。
もし大切なニットに糸引きができてしまったら、まずはお気軽にご相談ください。LINEでお写真を送っていただくだけで、無料でお見積もりが可能です。