衣服は身体を守るだけでなく、日々の楽しみやモチベーションにもなります。
季節ごとに変わる街のショーウィンドウを見たり、新しいコレクションをチェックするのはとても楽しいですよね!
しかし、トレンドの変化の激しいファッション業界には、たくさんの問題もあります。今回は、お洋服が好きな皆様にこそ知ってほしい衣料品とSDGsについて考えていきたいと思います。
「衣料品とSDGs」
「SDGs」とは、持続的でより良い世界を目指す国際目標のこと。最近では毎日のように耳にするようになりましたが、私たちが扱っているお洋服とも関係が深い課題です。
衣料品をSDGsの観点からみていくと、製造全体を通じてCO₂をはじめとする環境への影響があります。製造には大量の水を使用し、水質汚濁の問題もあります。廃棄物からはマイクロプラスチックが発生し、海洋汚染にもつながっています。
また、衣料品の生産のほとんどは海外の工場に依存しており、ファストファッションの台頭によって人権に配慮しない製造現場も発生しています。SDGs目標の達成には、環境問題はもちろん全ての人が安全に生活できるようにならなければなりません。
わたしたちは、衣料品がどのような過程で作られ、どのように廃棄されているのかまで考え、購入をしていく必要があるのです。
「衣料廃棄物って?」
ファストファッションの台頭により、流行物を気軽に手に取ることができるようになりました。それよって、短いサイクルで廃棄される衣料が増えています。
日本ではなんと年間50万トンを超える衣料が廃棄されているといわれています。(2020年調べ)また、その90%以上が焼却・埋め立て処分されています。
「衣料廃棄物は大きく分けて二つある」
一つ目は衣料品を作る過程で発生する「繊維廃棄物」。製造過程で出る糸や端切れなどがこれにあたり、汚れが少なく、大量に同一素材が発生するのでリサイクルしやすいという特徴があります。
二つ目は一度消費者に届けられてから捨てられて廃棄物になる衣料廃棄物で、「一般廃棄物(家庭ごみ)」に分類されます。こちらは汚れが付着したり、様々な繊維が混ざり合っていることから、リサイクルが困難なものが多くなります。
今回はより私たち消費者に身近な、家庭ごみとなる衣料廃棄物につて考えていきます。
「家庭から出た衣料廃棄物はどうなるの?」
家から出た衣料廃棄物は大きく分けて以下の3つの方法で再利用・処分されます。
- 繊維くずとして古繊維業者に渡され、ウエス・半毛綿などの原料となる。(リサイクル)
- 中古衣料として、リユースされる。
- 焼却・埋め立てされ処分される。
近年衣料品のリサイクルは進んでいますが、リサイクル・リユースされているのは全体の34%。残りは焼却・埋め立て処分されています。
「リサイクルすれば大丈夫?」
近年ではアパレルブランドによる衣料品の回収も増えています。リサイクル原料を使った製品も多く展開され、「リサイクルポリエステル100%」というような表示も多く見かけるようになってきました。製品を選ぶときの基準にもなりますよね。
しかし、リサイクルに出せば大丈夫なのでしょうか?
リサイクルをするには、もちろんエネルギーやコストがかかります。また、そもそも衣料品の製造による様々な環境への影響があり、リサイクルだけではその解決になりませんよね。
このように衣料品一点のライフサイクルが短いと、リサイクルをしても本当に環境負荷を低減していることにはならないのです。
それでは、私たちは何をすれば良いのでしょうか?
「一着の衣料品のライフサイクルを長くしよう!」
リサイクルをすることはもちろん大切ですが、 (製造→販売→着用→リサイクル)といった一着の衣服のライフサイクルをスローペースにすることが環境負荷の低減につながります。
今私たちが持っている一着を一年長く着ることで、日本全体で4万トン以上の廃棄量の削減になるとも言われています!
一着のライフサイクルを長くする方法をいくつかご紹介します。
- 新しい服を買う前に一度考える(長く着られるか?本当に必要か?)
- まだ着られる服は人にあげたり、古着屋さんに持って行ったりする
- 着られなくなった服を直したり、リメイクしてもう一度着る
- 正しい洗い方・保管方法を学んで長く着る
- 新しい服ではなく、古着を買う
これならできる気がしませんか?
一人一人が一着の服をもう少しだけ長く着るだけで、たくさんの衣料廃棄物を減らせます。自分ひとりがやっても変わらないなんて思わず、できることからはじめましょう!
当店では、皆様の大切なお洋服を長く着るお手伝いをしています。かけつぎの技術では、穴の開いた衣服も元に近い状態に修復が可能です。
お困りの際は、捨てる前にぜひ一度ご相談ください。今お持ちの服をできるだけ長く着て、人にも環境にもやさしくファッションを楽しみましょう!
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました!