スーツはビジネスシーンでの印象を大きく左右するため、常にベストコンディションを保つことが重要です。特に肘(ひじ)部分は摩耗やキズが生じやすい箇所の一つです。ここでは、スーツの肘キズを効果的に補修し、予防する方法について解説します。
◎スーツの肘ってどんなキズがつきやすいの?
スーツの肘部分が摩耗するのは、日常の仕事や活動中における一連の動作や習慣に起因します。特に、オフィスでのデスクワークが多い場合、肘をデスクにつけることが多く、この習慣が摩耗を引き起こし、擦れや穴の主な原因となります。
◎肘キズの補修方法
1. 繊細な手縫い
- 細かいステッチでの修理:小さなキズや穴の場合、細かいステッチを使って手縫いで補修します。スーツの素材や色に合わせた糸を選び、できるだけ目立たないように丁寧に縫い合わせることが重要です。
2. パッチワーク
- 同じ補修布での修理:同じか似た素材のパッチを裏側から当てて縫い付ける方法があります。この方法は、キズを効果的に隠すことができますが、パッチが外側から見えないように丁寧に作業する必要があります。
- 違う補修布での修理:穴が大きい場合やデザインとして楽しみたい場合は、全く柄の違う布をエルボーパッチとして縫い付ける方法があります。ツイードや、厚手のジャケットなどにデザインとしても使われる修理方法です。エルボーパッチはお洒落上級者向けにはなりますが、個性的な印象を出したい方にはお勧めです。
3. 接着剤を用いた方法
- 布用接着剤:非常に小さなキズの場合や、縫い目がほつれた場合には、布用の接着剤を使用して修理することができます。この方法は一時的な修理には適していますが、洗濯等には不安が残ります。耐久性や見栄えを考慮すると、縫いによる修理が推奨されます。
4. プロフェッショナルな修理
- 専門の補修サービス:大きなキズや複雑なダメージがある場合、プロフェッショナルな補修サービスに依頼することが最適です。特に高価なスーツや、見た目を重視したい場合には、当店のようなかけつぎ(かけはぎ)専門店や、高度な技術を持つ修理業者に相談することをお勧めします。
エルボーパッチを用いたデザイン (ビームス通販サイトより)
肘キズの予防策
- 適切なサイズの選択
- スーツが体にぴったり合っていることが重要です。特に袖の長さが適切でないと、肘部分に余計な摩擦や圧力がかかります。
- スーツのローテーション
- 同じスーツを連続して着用することは避け、複数のスーツをローテーションさせて使用することで、摩耗を防ぎます。
- 肘部分の保護
- デスクワーク中は、肘掛けを使用する、ジャケットを脱ぐ、アームカバーをつける、肘をデスクに直接置かないようにするなど、肘部分への圧力を軽減します。
- 定期的なメンテナンス
- スーツは定期的にプロのクリーニングに出し、必要に応じてメンテナンスを行います。これにより、素材の劣化を防ぎ、長持ちさせます。
- 長時間のデスクワーク、人にも服にも休憩を
- デスクワーク中に肘をデスクにつけ続けることで、スーツの肘部分に摩擦が生じ、摩耗します。適度にデスクから離れて休みましょう。
- 補強パッチの利用
- 始めから肘部分に内側から補強パッチを当てることも一つの方法です。これにより、摩耗を予防し、スーツの耐久性を高めることができます。
まとめ
スーツの肘キズは見た目だけでなく、スーツ全体の印象を損ねる原因となります。しかし、適切な補修方法と予防策を講じることで、スーツを常にベストコンディションに保つことが可能です。スーツを長く愛用するためにも、これらのポイントを実践しましょう。
◎かけつぎ修復事例1(スーツ 肘裂けキズ)
◎かけつぎ修復事例2(ウールジャケット肘穴)