気がついたらスーツの脇が股が擦り切れてしまっている・・・他の場所は綺麗なのに脇や股が気になってお気に入りのスーツが着れない・・・。脇や股が擦れる現象は日常生活の中でよく見られますが、これらは着用する衣類の着方による摩擦、圧力、素材の質が大きく関わっています。今日は、この問題の主な原因と対策について解説します。
擦れる原因
- 摩擦: 身体の動きによってスーツの生地がワイシャツ、下着、肌などと擦れ合うことで、特定の部分が摩耗します。脇下や股は動きが多いため、これらの部位で擦り切れが最も起こりやすいのです。また、ウール素材など脇のフエルト化現象を起こしやすいものがあります。フエルト化とは、汗(水分)と摩擦により毛糸が縮まっていくことで起こるもので、フエルト化してしまったものは、元には戻らないので早めの対策が必要です。
- 圧力: 座る、歩く、走るなどの動作は、衣服に圧力を加え、特に股や脇の下の部分に摩耗を引き起こします。。本来、スーツは過度な運動に耐えうるように作られたものではありませんが、仕事が多種多様になった現代において、ハードな営業職でスーツが傷みやすいという方や、自転車通勤の方など、スーツを酷使する場面が増えています。
- 素材の質: 低品質の布地や繊維は、耐摩耗性が低く、擦り切れやすくなります。また、繊維の種類によっては、特定の条件下での耐久性が異なる場合があります。
対策
1. 適切なサイズの服を選ぶ
- 正しいサイズ:自分にあったサイズのスーツ、ジャケットを選びましょう。過度な摩擦と圧力を避けられます。タイトすぎる服は摩擦を増加させ、擦り切れを引き起こす原因となります。
2. 耐久性のある素材を選ぶ
- 高品質の素材:厚みのある素材や高品質で耐久性のある素材を選ぶことで、摩耗を減らすことができます。例えば、特定の合成繊維は天然繊維よりも耐摩耗性が高い場合があります。
3. 摩擦を減らす工夫
- 摩擦を減らすための製品の利用:静電気防止スプレー、おしゃれ着用の洗剤などを使用しましょう。衣服の耐久性を向上させることができます。
- ツーパンツスーツ:スーツのスラックスがよく破けてしまうのであれば、ツーパンツのスーツを購入するのもおすすめ。2着のスラックスを着回すことで股ずれによるダメージが蓄積しづらく、生地の傷みや破けを防ぐことができます。
4. 衣服の保護
- 股の補強: 股ズレ防止のシック(当て布)が付いているズボンを着用するとよいでしょう。汗や摩擦によるダメージを軽減し、ズボンの破れ防止になります。スラックスの場合、あらかじめシックが取り付けられていることも多く、あとから取り付けることも可能です。
- 脇の補強:脇あてが効果的です。脇あてとはアームホールの下に付いている三角のパッド状のものです。ジャケットの裏地と同じ素材で作られているものもあり、汗を吸収し表地に汗がしみることを防ぎます。脇下の滑りを良くし、摩擦からスーツを守る機能的な仕様です。
5. 適切な洗濯方法
- 洗濯方法と洗剤:衣服を裏返して洗濯することや、洗濯ネットを使用することで、洗濯時の摩擦を減らし、衣服の摩耗を避けることができます。また、おしゃれ着用洗剤には、シリコンや柔軟成分などが入っており、繊維をコーティングしながら洗えるのが特徴で、服に対するダメージを最小限にできます。
6. 定期的なメンテナンス
- 早めの対策: 擦り切れを見つけたら、早めに修理しましょう。さらなる損傷を防ぐことができます。小さな穴や裂け目は、修理が比較的簡単で、修復跡も綺麗です。自分では見分けが難しい、キズやスレが大きそう・・・等悩んだ場合は専門店にご相談を。
まとめ
これらの対策を適切に行うことで、大切なスーツの擦れやキズを大幅に減らすことが可能です。スーツを購入するときのサイズや素材の選択、メンテナンス、そして適切なケアが、衣服の寿命を延ばす鍵となります。
◎かけつぎ修復事例1(ジャケット脇スレ)
◎かけつぎ修復事例2(スーツパンツ 股スレ、穴)