セーターやカーディガンなどのニット製品は、その柔らかい肌触りとデザイン性が魅力的です。しかし、摩耗や不注意による引っ掛けなどで柄が崩れてしまうことがあります。特にお気に入りの一着であれば、ダメージを見つけた時のショックは計り知れません。
今回は、柄ニット製品の修復事例をご紹介します。柄などのデザインが特徴的な洋服は、ダメージによって模様が大きく歪んでしまい、美しいデザインが損なってしまったり、小さな糸のほつれから更に広がってしまうなど、早めの対策をお勧めするものが多いです。当店の実際の修理を通して、どのような状態のものがどのように修復されたのかを写真を共にお伝えします。
事例1 デザインカーディガン
このニットは幾何学模様が全体に編み込まれたデザインで、背中部分がほつれて大きく穴が開いており、緩んでしまった編み目が広がっている様子がわかります。


糸の隙間が均一になるように編みなおして修復しています。糸自体はそこまで多く切れていなかったため比較的綺麗に仕上げることが出来ました。
事例2 柄セーターの穴
こちらは何らかの理由で柄部分に穴が開いてしまっています。柄が多色にわたる場所の修復なため、他の場所との柄を合わせながら修復していきます。


こういった品物の場合、同じ色の糸が取れないことが多いのですが、今回はたまたま製品から取ることができました。同じ色の糸が取れない場合でも柄が多い生地の場合、色違いが柄でごまかされるため見た目的に違和感が少なく仕上げることができる場合が多いです。
事例3 ロゴ製品のほつれによる穴(スウェット)
細かい編み目の生地のセーターの穴です。ブランドのロゴの上にキズがあるため、ロゴの色や形を損なわないよう再現していきます。


多少白い部分の柄の欠損が出ていますが、そこまで違和感なく仕上げることが出来ました。
事例 粗いチェック柄のセーター
チェック柄の中に斜線の柄が入っているニットです。斜線部分の一部が切れてしまっています。周辺の同じ柄の部分と比べて違和感ないように周辺のバランスを見ながら編み込んでいきます。


事例 大きなロゴ模様が入ったセーター
袖口の大きなロゴ部分がほどけて穴が開いています。このセーターは修復するための糸が製品から取れなかったため、似た糸を使用して修復しています。修復部分に若干の色違いが出ています。


事例 焦げ穴によるキズ穴
ロゴ部分を含んだ生地に焦げ穴がありました。生地の風合いとロゴを形を損ねないように編み込みます。


焦げたキズの場合は、茶色くなっているところも含めて大きな欠損となるため、その部分を全て編みなおす必要があります。多少の編み、柄の歪みはありますが比較的綺麗に仕上がっています。
事例 後染めで柄が作られた生地


このような後染め生地の場合、製品から糸をとって修復しても白っぽくなってしまうため、似た糸で修復するか、製品から抜き取った糸で修復してから色を付ける方法があります。色を付けると色修正の加工代が別途かかることから、今回はお客様のご要望で似た糸で修復させていただきました。
修復後の仕上がりについて
柄のある生地の場合、先染めか後染めかどうか、キズの位置、欠損具合によって仕上がりは大きく変わってきます。
製品によって比較的綺麗に仕上がるものもあれば、柄ズレや色違いが出るような場合もありますが、そういった場合は事前にご連絡致しますので、ご安心ください。
ニットのトラブルを防ぐためのアドバイス
お気に入りのニット服を長持ちさせるために、以下のポイントに気をつけましょう:
- 洗濯時の注意: ネットに入れて優しく洗うことで、引っ掛けや摩耗を防ぎます。
- 保管方法: ハンガーではなく平らに畳んで保管すると、伸びや型崩れを防げます。
- 早めの対応: 小さなダメージでも早めに修理を依頼することで、大きなトラブルを未然に防げます。
まとめ
今回の修理事例を通して、柄が崩れたニットも丁寧に修理すれば、再び着られる状態に戻せることをお伝えしました。大切な一着を修理することで、愛着のある服を長く楽しむことができます。
当店では、ニットの修理に関する相談を随時受け付けています。お気軽にお問い合わせください。皆さまの大切な服を再び輝かせるお手伝いをいたします!