
冬の定番アウターとして長く愛されているダッフルコート。しっかりとしたウール生地で作られていることが多く、「何年も着続けたい一着」としてお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし長く着ることが多いため、虫食いや擦れといったダメージのご相談も非常に多いアイテムでもあります。
この記事では、ダッフルコートの特徴や歴史を踏まえながら、かけつぎ修理の実際と注意点についてご紹介します。
ダッフルコートとは?特徴と魅力

ダッフルコートは、厚手のウール生地で作られた防寒性の高いコートです。
カジュアルにも上品にも着られる汎用性の高さから、年代を問わず長く愛用されているコートです。また、生地がしっかりしているため、適切に修理すれば長く着続けられる点も大きな魅力です。
ダッフルコートの主な特徴
- トグルボタン(木製や角の留め具)
- フード付きのデザイン
- ゆったりとしたシルエット
- メルトンなど密度の高いウール素材
ダッフルコートの歴史

ダッフルコートの起源は、ベルギーの「デュッフル」という町にあります。
そこで作られていた厚手のウール生地が名前の由来です。その後、イギリス海軍が防寒着として採用し、第二次世界大戦を経て一般にも広まりました。
こうした背景から、ヴィンテージ品であったり、長年着続けているコート といった「思い入れのある一着」であるケースが多く、修理のご相談が多いアイテムでもあります。
ダッフルコートの有名ブランド
- Burberry(バーバリー) 言わずと知れた英国ブランド 上質なウールとクラシックデザイン
- Hermès(エルメス) 極上素材+ラグジュアリーな仕立で市場数は少ないが価値は非常に高い
- INVERTERE(インバーティア)MOORBROOK社のヘリンボーン生地を使い、フランスの名だたる高級メゾンへダッフルコートを提供していた名門中の名門
- Gloverall(グローバーオール) ダッフルコートといえばここ。 英国海軍モデルをベースにした本格仕様 「MONTY(モンティ)」モデルが有名
- OLD ENGLAND(オールドイングランド) フランス発ながら英国スタイルを継承 上品で洗練されたシルエット

ダッフルコートで起こりがちなトラブルに最適なかけつぎ修理

ダッフルコートでよく見られるダメージは以下のようなケースですが、特に注意が必要なのは、見えているキズ以上に周囲の生地が弱っているケースが多いことです。そのため、実際の修理では、見た目よりも広い範囲で補修が必要になることがあります。
- 虫食い(前身頃・背中など)
- トグル部分、袖口や裾の擦れ
- ポケット口の破れ
- 毛羽の摩耗による生地の薄れ
ダッフルコートのかけつぎ修理とは
かけつぎとは、生地の織りに沿って糸を再構築することで、穴や破れを目立ちにくくする修理技術です。ダッフルコートの場合は、付属の生地(共布)や裏側や端などから糸を抜き取り、それを用いて修復します。もとの生地と同じ布や糸を使用することにより、より違和感ない仕上がりが可能となります。
〇 修理をおすすめするケース
・高品質なウールコート
・思い入れのある一着
・ブランドやヴィンテージアイテム
✖ 修理をお勧めしないケース
・生地全体が弱っている場合
・ダメージが広範囲に及ぶ場合
仕上がりとのバランスを見て修理をおすすめしないケースもありますが、ダッフルコートは生地がしっかりしているため、比較的目立たず修理できるケースも多く、プロの目で判断することが重要です。
修理事例(Before / After)
ウール素材 トグル横 擦れキズ修理


トグル横の部分は、着用時の摩擦によってスレキズができてしまうことがよくあります。
今回は、製品から抜き取った糸を使用し、傷んだ部分に織り込むようにして修復しています。
本体の生地には加工による凸凹感がありますが、修復箇所はどうしてもその風合いがなくなります。製品から取った糸を使用しているため、他の修理方法に比べると馴染みやすい仕上がりではありますが、元の風合いと完全に同じにはならない点をご了承ください。
バーバリー ウール素材 虫食い穴修理


製品から抜き取った糸を使用し、傷んだ部分に織り込むようにして修復しています。
色褪せも少なかったため、比較的綺麗に仕上げることができました。
虫食いは1箇所見つかると、他の部分にも発生している可能性があります。ご依頼前に、お品物全体をご確認いただくことをおすすめいたします。
ウール素材 ポケット周り スレ破れ修理


鞄などのスレによってこのようなキズができることがあります。こういったウールコートは製品から糸を取って修復します。長年着用していると色褪せがあるため、修復箇所との色違いがでましたが、全体に色褪せのムラがあったこともあり、そこまで目立たずに仕上げることが出来ました。
エルメス ウール素材 虫食い穴


お写真の箇所以外にも、全体的に虫食いが見られる状態でした。
裏地付きの品物だったため、裏地をほどき、縫い代の中から糸を抜き取って修復しています。
元の生地の凸凹感は薄くなっていますが、全体に毛羽立ちのあるお品物だったこともあり、大きな違和感なく仕上がりました。
虫食いの数が多い場合でも、気になる箇所のみ部分的に修復することも可能ですので、お気軽にご相談くださいませ。
まとめ|ダッフルコートは「直して着る」という選択
ダッフルコートは、しっかりとした素材で作られているからこそ、適切に修理を行えば長く着続けることができます。「もう着られないかもしれない」と思った一着でも、修復が可能な多いです。捨ててしまう前に、一度ご相談いただければと思います。



