ニットの穴修理には、同じ様に編んで修復する方法、縫い糸で寄せつなぐように補修する方法、当て布で補強する方法など、いくつかの種類があります。
どの方法も穴を塞ぐことを目的としていますが、仕上がりや費用、向いているキズの状態はそれぞれ異なります。
以下では代表的な修理方法をご紹介いたします。ご自身のお品物がどの修理に適しているか、判断の参考にしていただけますと幸いです。
「かけはぎ(かけつぎ)」 同じ様に編む方法
製品から取った糸や近い糸を使い、欠損した部分を編んで再現する修復方法です。
メリット
- 同じ(似た)糸で修復することから周りとの馴染みがよい
- キズの部分を最小限で修復ができる
注意点
- キズの状態や生地感によって修復跡が残る
- 非常に手間と時間がかかることから他の修理方法と比べると金額が高い傾向がある
虫食い穴


製品の見えない所から取った糸を使い、部分的に編んで修復しています。
若干の編み目の歪みは出ていますが、比較的綺麗に仕上げることができました。
縫い糸で寄せつなぐように補修する方法

元のキズよりも広い範囲を縫う必要があるため、想定より修理跡が目立つことがあります。
そのため、人目につきにくい場所や、ほつれ方によって適している場合に選ぶことをおすすめします。

修理に使われていた縫い糸をほどき、かけはぎで再加工しています。
一度縫い糸でつまんであったことで糸に癖がつき、多少の編み目の歪みは残っていますが、元の状態と比べると大きく改善することができました。
他店やご自身で修理されたものの再加工も多くご依頼いただいておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
首回りのほつれ


かけはぎ部分は、製品から取った糸を使い、元の編み目に合わせるようにつなぎ直して修復しています。ほつれが大きい場合でも比較的きれいに仕上がりやすい箇所ですが、修理方法によって費用や仕上がりが異なるため、ご予算に合わせて慎重にお選びいただくことをおすすめします。
当て布による修理
ひじなど、着用によって広範囲に生地が薄くなってしまった場合は、強度を考慮し、リメイクのようにパッチを当てる方法もおすすめです。レザーやウール、デニムなど、市販のパッチを使用するほか、ご自身で選んだ生地を縫い付けることで、補強しながらデザインを楽しむこともできます。

肘のスレ穴


製品の見えない部分から抜き取った糸を使い、部分的に編み直すように修復しています。
欠損が大きかったため多少の編み目の歪みがあり、またスレによって穴の周りが色褪せしていることから、多少の色違いも出ています。
肘部分は着用により擦れやすい部分になるため、穴の周りの生地が薄くなりすぎて強度に不安が残る場合や、修復跡が目立ちすぎると判断した場合には、かけはぎでの修復をお受けできないこともございます。
その他 糸引き(糸出)
糸引き(糸出)を内側へ入れる修理
飛び出した糸を切らずに内側へ入れ、表側から目立ちにくくします。また引っかかることによって損傷が大きくなることを予防する面でも効果的です。※引けによりできた線はそのまま残ります。
糸を元の状態へ戻す修復(かけはぎ)
飛び出た糸を手作業で元の位置に戻していく修復方法です。糸を新たに足すのではなく、残っている糸を周囲の編み目へ戻しながら、元の状態に近づけていきます。時間と手間のかかる修復ですが、引けにより突っ張った生地も改善することができます。飛び出た糸が切れている(弱っている)場合は、新たに糸を入れます。


糸を内側に引っ込めている箇所と、糸が表側に飛び出している糸引きの2箇所を修復しました。
薄手の生地のため多少の線は残っていますが、そこまで違和感なく仕上げることができました。
一度糸を内側に引っ込めたものの、仕上がりが気になるという場合でも修復できますので、お気軽にご相談くださいませ。
※飛び出した糸を切ってしまうと、修復費用や仕上がりに影響することがあります。また、切った部分を起点にほつれが広がる可能性もあるため、できるだけそのままの状態でご相談ください。
大きい虫食い穴


製品から抜き取った糸を使い、部分的に編んで修復しています。
欠損が比較的大きいお品物でしたが、糸馴染みの良い生地だったため、修復跡もそこまで目立たず、比較的きれいに仕上げることができました。
欠損が大きい場合でも比較的綺麗に仕上がることも多々ありますので、あきらめずにまずは一度ご相談くださいませ。
まとめ
ニットの修復方法はお店によって様々ですが、どの方法がよいかは費用だけでなく、修復跡をどの程度抑えたいか、今後どのように着用したいかによっても変わります。
「どの修理方法を選べばよいかわからない」「どこに相談したらよいかわからない」という場合も、まずはお気軽にご相談くださいませ。



