
新しいスーツに袖を通すとき、あなたは何を基準に選んでいますか?
価格、ブランド、シルエット…。さまざまな条件がある中で、「自分の体に合った一着」を求めるなら、オーダースーツはとても心強い選択肢です。
ただ、それだけではありません。
オーダーしたスーツは、長く愛用し、必要に応じて修理を重ねていける服でもあるのです。
今回は、オーダースーツの魅力と、知られざる“直して着る”という視点をお届けします。
1. 自分の体型にぴったり合うフィット感
オーダースーツの最大の魅力は、なんといってもフィット感の良さ。
肩の傾斜、袖の長さ、腰のくびれ具合まで、すべてあなたの体に合わせて仕立てられるため、見た目が引き締まり、着心地も快適になります。
既製品では「デザインはいいのに体型に合わない」「サイズは合っているのにどこかしっくりこない」と感じることがある方には、ぜひ一度体験してほしいポイントです。
2. スタイルアップ効果で印象が変わる
身体に合ったスーツを着ると、自然と姿勢が良く見え、全体のバランスも美しく整います。
特にウエストラインや肩周りのシルエットは印象を大きく左右するため、ビジネスシーンでも好印象を残すきっかけに。
体型に合わせて仕立てられていることで、生地のヨレやだぶつきも少なく、スーツ本来の美しさを保ちやすくなります。また、体型に合うことで着用の際に生地に無理がかからず、長く着ることが出来ます。
3. 生地もデザインも、あなたらしく自由に
オーダースーツでは、生地・裏地・ボタン・ラペルの形状・ステッチの色など、細かなディテールまで選択可能。さらに、「ポケットの形を変えたい」「裏地に遊び心を入れたい」など、自分だけの一着を楽しむことができます。
仕事用には落ち着いたウール素材、フォーマルには艶感のあるネイビー、休日にはリネン混の軽やかな一着…など、着る場面に合わせて自由にカスタマイズできます。
またオーダーした生地やボタンなど部品が保管されていることも多く、後の修理やサイズ直しが市販品に比べ容易なことがメリットでもあります。

仕立てたら終わり、ではありません
― 傷んでも「直せる」から、また着たくなる
どれだけ丁寧に着ていても、サイズが変わってしまったり、着用を重ねれば少しずつ擦れたり、小さな穴が空いたりすることもあります。
でも、それで捨ててしまうのはあまりに惜しい。
とくにオーダースーツは、こだわった生地で仕立てられているからこそ「直す価値」があるのです。
「かけつぎ」で蘇る、思い入れのある一着
紬かけつぎ店では、スーツにできたキズや虫食いを、伝統的な修復技法である「かけつぎ」でお直ししています。
かけつぎとは、共布や製品の縫い代などから糸や布を取り出し、生地の織り目に合わせて、キズ部分へ一本ずつ丁寧に織り込んでいく技法です。生地本来の風合いをできる限り損なわず、大切な一着を再び着られる状態へと修復します。
ジャケット 焦げ穴


虫食いやタバコ等の焦げによって穴があいてしまうことがあります。グレーの生地は比較的目立ちにくく、大きなキズでも綺麗に仕上がることが多い品物です。着用による色褪せで、色違いが出る場合があります。
ジャケット 虫食い穴


チェック柄や千鳥格子、バーズアイ柄などは、柄を合わせやすく、比較的きれいに仕上がることが多い生地です。
ただし、着用による色褪せや風合いの変化がある場合は、修復に使用する生地との色違いが出ることがあります。特に肘やお尻、バッグを背負うことで擦れやすい背中などは、キズの周囲にも色褪せが生じていることが多く、修復跡が目立つ場合があります。修復前に仕上がりの予測をお伝えいたします。
スラックス お尻部分 スレキズ


擦れの影響で多少の色違いが出ていることに加えて、光沢感があることで馴染みがあまりよくない生地のため、つなぎ目に多少の線が入り四角に多少目立ちが出ています。同じように修復しても、生地の状態や素材によってこのように跡が出てくることがあります。他の修復方法と比べると同じ生地での修復となることから仕上がりは良いですが、こういった跡が出る場合があることをご了承ください。
ジャケット 肘スレキズ


織り目に沿って四角に修復しています。
肘や膝やお尻の部分では着用の仕方によってこのように擦れて穴が開いてしまうことがあります。擦れキズの場合は穴周りも生地が薄くなっていることから大きく修復が必要になること、またスレによって色褪せが出ていることから修復跡は色違いが出ることも多いです(色違いが出る場合は事前にお知らせいたします)。
スラックス ポケット横破れr


一般的な箇所と比べると負荷がかかりやすいため、ご依頼が非常に多い箇所です。通常のかけつぎ修復と比べて手間がかかるため、プラス料金をいただいています。着用の際、ポケットに財布などを入れるのを控えていただくと、破れるリスクを抑えることができます。
※ポケット口の端にあるジグザグ状の縫い目は、「かんぬき」と呼ばれる補強部分です。今回は、このかんぬきを元の位置より約1cm内側に新しく入れ直しているため、ポケットの入口が1cm程度狭くなっています。仕様が変わる場合は、事前にお知らせいたします。
すでにオーダースーツをお持ちの方へ
仕立てた当時はよく着ていたけれど、サイズが合わなくなった。少さなキズがついてからタンスに眠っている。毎日着るからいつも同じところが擦れたり破れたりする。そんなスーツがあれば、一度オーダーしたお店にご相談されることをおすすめします。
キズがあっても、修理、修復することで再び“今”の自分に合う一着として蘇ることもあります。また簡単に破れないように最初から補強する方法などもあります。
「思い出が詰まったスーツ」「節目のときに着たスーツ」「お気に入りで毎日着てしまうスーツ」など、特別な意味を持つ服だからこそ、直すことで新しい物語が始まります。オーダースーツ店はあなたの気持ちに寄り添ってくれるはずです。
まとめ|オーダースーツは“身体にも心にも価値ある一着”
オーダースーツの魅力は、体にぴったり合う着心地や美しいシルエットだけではありません。自分だけのために仕立てられた特別感。お直しながらでも大切に長く着たいと思う気持ちも芽生えます。
オーダースーツは身体も心にも既製品にはない価値があると私たちは考えます。ぜひオーダースーツ店で自分だけの至福の一着を見つけてくださいね。



