
フリース素材が大活躍する冬。特にアウトドアブランドのフリースは、「デザインが素敵」「機能的で気に入っている」「長年着てきた」という理由から、簡単には手放せない一着になっている方も多いのではないでしょうか。フリースは軽くて暖かく、扱いやすい素材である一方で、一度キズがつくと目立ちやすく、修理は出来ない素材という印象を持たれがちです。
今回は、フリース素材の特徴と、どのようなキズが起きやすいのか、更に修理相談の多い代表的なフリースブランドや、当店の修理事例についてご紹介します。
フリース素材とは?|暖かさと弱点を併せ持つ生地
フリースは主にポリエステル繊維で作られた素材です。
ニット(編物)をベースに、表面を起毛させることで毛足を立たせ、空気を含ませる構造になっています。
メリット
- 軽量で高い保温性
- 乾きやすさ
デメリット
- 熱に弱く、摩擦に弱い
- 表面の毛足がダメージを受けやすい
- キズが点ではなく、面で目立ちやすい
フリースにできやすい代表的なキズ
焚き火・タバコによる溶け穴
フリース修理で最も多いのが、焚き火やタバコによるダメージです。ポリエステル繊維は燃えるのではなく溶けるため、
- 小さな穴が空く
- 周囲の繊維が硬化する
という特徴があります。
一見すると小さな穴でも、着用や洗濯を繰り返すことで広がってしまうことがあります。
摩擦による毛足の削れ
リュックやショルダーバッグが当たる肩や背中、車のシートと擦れる腰回りなどに多いダメージです。
穴は空いていなくても、「毛足が寝る」「白っぽく見える」などといった変化が出て、「傷んでみえる」原因になります。
引っ掛けによる部分的な欠損
枝や金具に引っ掛けて、破れてしまったり、毛足が抜けてしまうケースです。
軽傷に見えても、そこからダメージが広がることがあります。
フリースの修理相談が多い有名ブランド
■ DANTON(ダントン)
近年、街着として人気が高まっているブランドです。軽くて着回しやすいフリースジャケットは秋冬の定番アイテムとなっており、日常使いによる擦れや引っ掛け、ペットの爪によるキズなどのご相談が増えています。
シンプルなデザインだからこそ、小さな穴やキズでも目立ちやすく、「お気に入りだから長く着たい」という理由で修理をご依頼いただくケースが多いブランドです。
焦げ穴


色褪せが少しあること、また着用によって毛が少し寝ていることから多少の風合いの違いが出ていますが、そこまで違和感なく修復することができました。
■ Patagonia(パタゴニア)
定番のレトロXやクラシックフリースなど、
長く着ることを前提に作られているモデルが多く、修理相談も非常に多いブランドです。
■ THE NORTH FACE(ノースフェイス)
デナリジャケットをはじめ、街着としても着用される機会が多いフリースが豊富です。
リュックとの摩擦や、日常使いによる毛足の削れなど、
使用頻度の高さゆえのダメージに関する相談が多く見られます。
焦げ穴



フリースの修復では、上の写真のように、キズ部分を編み目に沿って四角く切り抜き、製品から取った共布をはめ込むようにして修復することが多いです。
布同士は強度に問題が出ないよう、糸でしっかりとつなぎ合わせ、裏側には接着芯を貼って保護しています。
■ mont-bell
軽量性を重視したフリースが多く、生地が薄めのモデルでは、早期相談が重要になります。
小さなダメージの段階でご相談いただけると、対応できる幅が広がります。
まとめ|フリースは“諦める前に相談”を
フリースは消耗品と思われがちですが、気に入っている一着であれば、修理という選択肢があります。「これはもう無理かな?」そう感じたタイミングこそ、一度ご相談ください。
BALENCIAGA(バレンシアガ) 広範囲の焦げ


広範囲に焦げて穴があいていた部分も、編み目に沿って四角く整え、製品から取った布をはめ込むようにして修復しています。
色褪せや、着用によって毛が寝ている場合は、修復部分に風合いの違いが出ることがあります。こちらの品物は、そこまで経年による劣化が進んでいなかったため、違和感も少なく、比較的きれいに仕上げることができました。。範囲が大きくてもあきらめずにご相談ください。
Cotopaxi(コトパクシ) 焦げ穴


ポケット部分から共布を取り、編み目に沿って四角く修復しています。布を取った箇所は、当て布を付けなくても問題のない作りだったため、手縫いでまつって仕上げました。
修復部分には多少の風合いの違いが出ていますが、比較的きれいに仕上げることができました。



