皆さんは「かけつぎ」という言葉をご存知でしょうか?
かけつぎとは、衣類に生じたキズや虫食いを、元の状態に近づける修復技術です。同じ生地や糸を用いて手作業で修復を行います。かけつぎでは、元の生地や糸を使用して、手作業のみで損傷部分を修復します。高度な技術を要するだけでなく、1箇所修復するのにかなりの時間がかかりますが、数多くの修理方法の中でも、特に綺麗な仕上がりになるといわれています。業者によって提供されるサービスには違いがありますが、当店では「スーツやその他の洋服」「ニット(セーター)」「着物」など、幅広く対応しています。
かけつぎの歴史に関する文献はほとんど存在しませんが、一説によると「着物の損傷を手作業で修復する技術から派生した」とされています。これを考えると、かけつぎは数百年にわたって受け継がれてきた伝統技術といえます。
しかし、近年、職人の高齢化、後継者不足、ファストファッションの台頭により、この技術の需要は減少しています。結果として、かけつぎを提供する業者も減少しており、この言葉自体を知らない方が増えています。需要の減少は今後も続くと思われます。
私(岡野)は、かけつぎは未来がある仕事だと信じています。衣類を着る全ての方が潜在的なお客様であり、この技術についてより多くの方に知っていただければ、国内外問わず相談したいと思う方は数多くいらっしゃるはずです。
認知度はまだ低いものの、20年後、30年後には「かけつぎ」という言葉が一般的に知られるようになっている世の中を目指して、私はこの仕事に取り組んでいきたいと思います。
※関東では「かけはぎ」 関西では「かけつぎ」と呼ばれることが多く同義として扱われています。