ニット製品は、編み方の種類によって見た目や手触りが異なり、それぞれ独自の魅力を持っています。しかし、編み方の違いにより発生しやすいトラブルもさまざまです。今回は、ニット製品の主要な編み方とその特性、よくあるトラブル、さらに適切なケアや対策方法を徹底解説します!
【 編み物(ニット)の編み方の種類 】
1. 平編み(メリヤス編み・天竺編み)
最も基本的な編み方で、シンプルで薄手な仕上がりが特徴です。ニット製品だけでなく一般的に流通しているTシャツなど布の多くはこの平編みを用いています。
- 特徴: 横方向にストレッチ性があり、軽くて通気性が高い。凸凹のない編地。
- トラブル例:
- 縁が丸まる: 裁断部分が内側に巻きやすい。
- ほつれ: 一部が引っかかると目が落ちやすい。
- 対策:
- 縁にリブ編みを加えて丸まりを防止。
- ほつれた部分は目を拾い直し、早めに補修。
かけはぎ修復事例
製品のつなぎ目や縫い代等の表から見えないところより糸を抜き取り、部分的に編んで修復しています。※製品から糸が取れない場合似た糸で修復することもあります。
セーターと同様製品の表から見えないところより抜き取った糸を使い部分的に編んで修復しています。糸が非常に細かいことから多少の編み目の歪みと、修復箇所は透け感が少なくなる分多少の目立ちが出ています。
2. リブ編み(フライス編み・ゴム編み・畦(あぜ)編み)
表目と裏目を交互に編むことで高い伸縮性を持つ編み方。袖口や裾によく使用されます。横方向に伸縮性があり、着脱しやくすく、シルエットにフィットするタイプのTシャツやインナーなどに利用される編地です。
- 特徴: 平編みよりも横方向に伸縮性がある。フィット感があるので、体に馴染む。
- トラブル例:
- 伸びすぎ: 長期間の使用で形が崩れる。
- 縮み: ウール製品では特に洗濯時の縮みに注意。
- 対策:
- 洗濯後に干す際、平干しハンガーを使用する
- 自宅で洗濯する場合は品質表示に注意する。繊細な生地はクリーニング店への依頼をお勧めします。
- 畳んで保管したりニット専用ハンガーで保管する
- 伸びてしまったり、縮んでしまった場合はクリーニング店で相談に相談
かけはぎ修復事例
リブ編みは袖口で使われることが多いです。編み目が歪みやすいことから、メリヤス編みと比べると修復跡が残ることが多いです。
3. 鹿の子編み
ポロシャツなどに多用される編み方で、凹凸のある表面が特徴的です。鹿の子絞りの織物に外観が似ていることからこのように呼ばれるようになりました。面ではなく点で肌に触れるため、肌に触れる面積が少なく通気性に優れています。
- 特徴:
- 素材が立体的で通気性が良い。
- シワになりにくく、カジュアルウェアに多い。
- トラブル例:
- 引っかかり: 凹凸の部分が物に引っかかりやすい。
- 擦れ: 摩擦により部分的に毛羽立ちが発生。
- 対策:
- 引っかかり部分は糸を内側に引き込むか、編み目を補修。
- 毛羽立ちは専用ブラシで整える。
かけはぎ修復事例
4. 裏パイル
裏地がタオルのようなパイル地(ループ)で構成した編地で、スウェット・トレーナーに広く使用される編地です、吸水性が高く、パイルがすき間を作り空気を含むため、快適な着心地を与えてくれます。
- 特徴:
- 裏面が柔らかく吸水性、保温性が高い。
- 伸縮性があり、カジュアルな着心地。
- トラブル例:
- 毛羽落ち: 裏側のループ部分が洗濯や摩擦で毛羽立ち、毛が抜けやすい。
- 縮み: パイルが絡まり、全体が縮むことがある。
- 対策:
- 初めの数回は洗濯ネットを使用し、他の衣類と分けて洗う。
- 洗濯後は形を整えながら平干し。
かけはぎ修復事例
製品から抜き取った糸を使い部分的に編んで修復します。裏側はパイル地になっていますが、問題なく編むことができます。糸が細かいことから多少の編み目の歪みがでて、多少色違いのように見えています。
【ニット製品のトラブル防止と基本ケア方法】
- 正しい洗濯方法:
- 洗濯表示を必ず確認し、中性洗剤を使用。
- ニットは基本的に手洗いがおすすめ。
- 保管時の工夫:
- 防虫剤を入れて通気性の良い場所に保管。
- 型崩れを防ぐため、折りたたんで平らに収納。
- 早めの修理:
- ほつれや穴ができた場合は、早めに補修する。
- 編み目の修復が難しい場合はプロに相談。
- 休ませる
繊維の摩耗防止のため、連続での着用は避ける。
まとめ
ニット製品は、編み方の種類によって特性やトラブルが異なります。ベーシックな平編みやリブ編みの他にも「鹿の子編み」や「裏パイル」など色々な特徴の編み地があります。多彩な編み方を理解し、それぞれに合ったケアを行うことで、ニットを美しく保ちながら長く愛用できます。
日常的なケアを大切にしながら、トラブルが発生した際は迅速に対応することで、お気に入りのニットを守りましょう!