
その快適さや多様性だけでなく、ファッションとしての魅力が再評価されているスウェットやパーカー。もともとスポーツウェアとして生まれたものですが、今では日常のカジュアルファッションやストリートスタイル、更にはオフィスカジュアルにも使えるアイテムとして広まっています。今回はそんな万能素材スウェットに起こりがちなトラブルとその対処法を紹介します。
1. 毛玉(ピリング)
スウェットの柔らかい生地と温かさは魅力的ですが、摩擦が多いと毛玉ができてしまうことがあります。スウェットを繰り返し着用したり、洗濯を重ねることで、特に摩擦の多い部分(袖や脇の下)に毛玉ができやすくなります。
対処方法:
- 毛玉取り器を使って毛玉を取る。
- 洗濯時には裏返し、洗濯ネットに入れて摩擦を減らす。
- 冷水で洗い、柔軟剤を使用して生地を保護。
2. 洗濯による縮み・色落ち
スウェットは、その快適なフィット感やシルエットだけでなく、個性的なプリントなどの自由なデザインを楽しめる素晴らしいアイテムですが、洗濯後に縮んだり色落ちしやすい素材でもあります。特に新しいコットン素材のスウェットは、洗濯後に縮みやすく、色も定着していないものもあり、他の衣類に色移りしてしまうことも。最近の家庭に必須の洗濯乾燥機を使うことでさらに縮みが加速し、元々のサイズ感が変わってしまうことがあります。
対処・予防方法:
- 低温または冷水での洗濯。洗濯ネットを使いオシャレ着または手洗いをするのがベストです。
- 乾燥機を避け、自然乾燥を選びます。平干しや吊るして乾かす方法がオススメ。
- もし縮んでしまった場合、スチームで形を整えたり、アイロンをかけて元に戻すことも可能です。
- 初回の洗濯は単独で冷水で洗い、他の洋服に色移りしないようにしましょう。
- ヴィンテージやブランド品などは、自宅洗濯は避け、クリーニング店へ依頼しましょう。
3. 擦り切れやほつれ
動きやすく、日常的に着ることができるため、カジュアルコーデには欠かせませんが、摩擦によって傷んでしまうことがあります。肘や肩、ポケット周りなど、摩擦がかかる部分で擦り切れやほつれが生じやすいです。また、使い込むうちに縫い目がほつれたり、裂けたりすることもあります。
対処方法:
- ほつれや擦り切れができたら、かけつぎ修理で生地を補強する。
- 刺繍やパッチを使って、デザインの一部としてほつれをカバーする。
- 洗濯ネットを使って、摩擦を軽減し、洗濯後のダメージを防ぐ。
予防策:
- 定期的に損傷部分をチェックし、早めに修理をすることで、ダメージが広がるのを防げます。
Chrome Hearts(クロムハーツ) 引っ掛けキズ


製品の見えないところから糸を取り、部分的に編んで修復しています
多少の編み目の歪みと色違いは出ていますが、色褪せが少なかったこと、糸自体はそこまで多く切れていなかったことからそこまで目立たずに仕上げることが出来ました。
4. 伸びやゆるみ、へたり
魅力:スウェットの柔らかさやリラックス感が魅力ですが、長時間着用していると裾や袖口のリブが伸びて、シルエットや質感が変わってしまったり穴が空いてしまうことも。
対処・予防方法:
- 伸びてしまった部分には、新しいリブを縫い付けて補強することが効果的です。
- 小さな穴はかけつぎなどで補修すると自然な仕上がりに。
- スウェットを干すときには、リブ部分を引っ張りながら形を整えると元の形を保ちやすいです。
- 洗濯は洗濯ネットを使い、形を整えて干すことで、伸びやへたりを防ぎます。
一部クリーニング店のアイロンによる調整で伸びやへたりを改善できることがあります。自分では難しいと感じた場合はご相談してみてもよいと思います。
Supreme(シュプリーム) 袖口スレ破れ


リブ編みという目立ちやすい編みになっていますが、キズも小さかったこと、色褪せが少なかったことから比較的綺麗な仕上がりとなりました。キズが大きくなると仕上がりも目立ちやすくなるので、穴を見つけたらお早めにご相談下さいませ。
5. フードやポケット部分の傷み
フード付きのパーカーやトレーナーは着やすく、カジュアルなのにスタイリッシュなアイテムゆえに、使用頻度&洗濯頻度が高く、フードやポケット部分が傷みやすいです。
フード部分が引っかかったり、ポケットの縫い目がほつれることがあります。特に手を頻繁に入れるポケット周りは摩擦でダメージを受けやすいです。
対処・予防方法:
- 特にフードやポケット部分をよく確認することが大事です。ほつれや傷みが気になる部分には、補強や修理を行います。早めに専門店に相談しましょう。
- フード部分は、アイロンを使って形を整えると、きれいなシルエットが復活します。
- 洗濯の際には細いハンガーを使わないように、フードを引っ張らないように気を付ける。
携帯や財布があたることによる損傷


修復方法:欠損が大きかったため、仕上がりを考慮して製品の表から見えない所より取った布を使い、編み目に沿って四角に修復しました。四角に多少の跡は出ていますが、色褪せが少なかったことからそこまで目立たずに修復することが出来ました。
Champion(チャンピオン) 焦げ穴


Championは近年非常に人気が高いため、ご相談がとても多いです。
今回は切れている糸の本数が多いことから、仕上がりを考慮して平織りといわれる碁盤の目のような織り方で穴を修復しています。編みは異なりますが、比較的目立ちにくい色であること、製品から抜き取った糸で修復しているため他の修復方法と比べると馴染みは良いです。
モンクレール(MONCLER)裂けキズ


切れている糸の本数が多く、また糸がかなり細かいため、同じように編むことが難しく平織りといわれる方法で穴を修復しています。同じ編みではないこと、糸が重なることにより透け感が少なくなることから修復箇所は色違いのような跡がでています。跡が残る場合は事前にご連絡いたしますので、ご安心ください。
まとめ
スウェットやパーカーはその快適さ、デザインの自由度、そして多様なスタイルに対応できる点で非常に魅力的なアイテムです。しかし、長期間使ううちに起こりやすいトラブルもあります。これらのトラブルを早めに対処することで、魅力を最大限に引き出し、長く愛用することができます。トラブルが発生した際には、早めに修理や対処を行い、お気に入りのスウェット・パーカーを大切に使い続けましょう!