スーツに穴や破れができた場合、購入店・一般の洋服修理店・かけつぎ専門店のどこへ相談すればよいのでしょうか。それぞれの特徴と、修理先を選ぶポイントを分かりやすく解説します。
スーツに虫食いや破れができたとき、「どこにもっていけばよいのか」「どの治し方が一番綺麗になるのか」と迷われる方は少なくありません。
スーツの修理方法は一つではなく、相談するお店によって、提案される方法や仕上がりが異なることがあります。大切なのは、単に穴を塞げるかどうかではありません。どこまで綺麗にしたいのか、費用をどこまでかけられるのか、今後も長く着たいスーツなのかを考えて、相談先を適切に選ぶことが大切です。
スーツの穴や破れはどこに相談すればよい?→まずかけつぎ店への相談をお勧めします。

スーツの穴や破れについて相談できる場所は、主に次の3つです。
- スーツを購入した店舗
- 一般の洋服修理店
- かけはぎ(かけつぎ)専門店
どこへ相談するのが正解というわけではなく、キズの種類や希望する仕上がりや予算によって適した相談先は変わります。
ただし、修復跡をできる限り抑えたい場合は、ミシンや接着剤などで加工する前に、最初にかけはぎ専門店へ相談することをおすすめします。一度別の方法で修理すると、後からかけはぎを行う際に、修復範囲が広がってしまう場合があるためです。
◎購入した店舗へ相談する場合
スーツを購入した店舗は、最初に相談しやすい窓口です。
ブランドや生地について確認できるほか、購入時に付属していた共布が残っている場合や、提携している修理業者を紹介してもらえることもあります。
一方で、購入店舗のスタッフが実際に修理するとは限りません。外部の修理会社へ取り次ぐ場合は、どのような方法で修理するのか、修復後にどの程度跡が残る可能性があるのかを確認しておくと安心です。
依頼前には、次の点を確認してみてください。
・かけつぎ、ミシン修理、裏当てのどの方法になるのか
・実際に加工する修理店の事例を確認できるか
・修復跡が残る可能性について説明があるか
・共布が必要かどうか

購入店へ相談した場合でも、仕上がりを重視したいときは、実際の修理方法を確認してから依頼することが大切です。
◎一般の洋服修理店へ相談する場合
一般の洋服修理店は、近くの店舗へ持ち込みやすく、裾上げやウエスト直しなどと一緒に相談できることが大きなメリットです。
スーツの破れについても、ミシン刺しや裏当て、縫い合わせなどで対応してもらえる場合があります。目立ちにくい場所や、費用を抑えて着用できる状態へ戻したい場合には、こうした修理方法が適していることもあります。
ただし、ミシン刺しでは表面に細かな縫い目が残り、裏当てでは表側の破れが見えたままになることがあります。無地のスーツや、黒・紺などの濃色、光沢のある生地では、わずかな縫い目や凹凸でも修復箇所が分かりやすくなる場合があります。
修復跡がどのように残るのか、事前に仕上がり見本を確認してから依頼すると安心です。

修復跡が目立つことはありますが、比較的安価に仕上げることができます。
人目につきやすい箇所では、修復後に跡が気になる場合もあるため、仕上がりを踏まえて慎重にご検討ください。。


このような縁部分のキズは、かけはぎよりも縫い込んで修理する方が、見た目が自然で、費用も抑えられることがあります。
当店では、お品物の状態を確認したうえで、その都度最適な修復方法をご提案いたします。
◎かけはぎ専門店へ相談する場合
かけはぎは、地域によって「かけはぎ」とも呼ばれる修復技術です。
衣類本体から取った共布や糸を使い、生地の縦糸と横糸、織り方や柄に合わせてキズを修復します。
単に穴を縫い合わせるのではなく、元の生地を再現するように近づけながら修復するため、スーツのように表面が平らで、修理跡が目につきやすい衣類に適しています。
かけつぎ専門店では、穴の大きさだけでなく、次のような点を確認して修復方法を判断します。
- 糸や生地の色や織り方、厚みや光沢などの素材
- 無地、ストライプ、チェックなどの柄
- 穴周りの擦れや色褪せ
- 共布や糸を取れる場所
- すでに別の修理が行われているか
ただし、かけつぎを行っても、必ず完全に元通りになるわけではありません。
黒や濃紺の光沢感のある生地、細い糸で織られた薄い生地、穴の周囲に擦れや色褪せがある場合など、素材によっては、修復部分に線や色の違いが残ることがあります。
良い点だけでなく、修復跡が目立つ可能性まで説明してくれる専門店を選ぶことが大切です。
後ろ肩 穴キズ


後ろ肩あたりの破れはバッグの擦れ等の影響でご依頼が非常に多いです。人それぞれ破れた原因が違うと思いますが、原因を探ってみると次の予防につながります。色褪せが少しあるため多少の色違いは出ていますが、そこまで目立たずに仕上げることができました。
淡い色のスーツ 裂けキズ


淡い色の生地は、事例のように修復跡が残りやすく、つなぎ目に多少の線が出やすい傾向があります。小さなキズの場合は糸で修復しますが、その場合もキズに沿って跡が残ることが多いです。また、同様に目立ちやすい生地として、光沢感のある素材も挙げられます。
スラックス ミシン刺しからかけつぎ修理への再加工



ミシンで縫われたところをほどいた後、かけつぎで再度修復いたしました。ミシンで縫われたところは生地が傷んでしまっていることが多いため元の破れの状態の時よりも大きめに修復が必要になることから多いです。今回は比較的綺麗に仕上がりやすい生地だったため、大幅に改善されましたが、生地によっては範囲が大きくなることによる目立ちを考慮して不可と判断する可能性もございます。
遠方の専門店へ送ってまで依頼する意味はある?
近くにかけつぎ専門店がない場合は、配送で修理を依頼する方法があります。
「スーツ一着を遠方まで送るのは大げさでは」と感じる方もいらっしゃるかもしれません
しかし、スーツは上下で購入することが多く、スラックスだけが破れた場合でも、まったく同じ色や生地のスラックスを買い直すことは簡単ではありません。
特に、次のようなスーツは、専門店へ相談するのがベストです。
・体に合っているオーダースーツ
・すでに販売が終了しているスーツ
・高級服地を使用したスーツ
・礼服や仕事で必要な一着
・思い入れがあり、今後も長く着たい、保管しておきたいスーツ
・ジャケットはきれいで、スラックスだけが破れたスーツ
買い替えと修理のどちらがよいか迷っている段階でも、まずは修復の可否や料金を確認してから判断できます。
スーツの修理先を選ぶ3つのポイント
どのような方法で修理するのか
同じ「スーツの穴修理」でも、かけつぎ、ミシン刺し、裏当てでは、仕上がりや費用が異なります。
依頼前に、具体的な修理方法を確認しましょう。
修復後の事例を確認できるか
修復前のキズだけではなく、修復後の写真を見ることで、そのお店が得意とする仕上がりを判断しやすくなります。
自分のスーツと近い色、生地、キズの場所の事例を探してみてください。
目立ちが残る可能性も説明してくれるか
生地や損傷状態によっては、丁寧に修復しても跡が残ります。「きれいに直ります」という説明だけでなく、目立ちやすい条件や仕上がりの限界まで説明してくれるお店を選ぶと安心です。
ジャケット 肘破れ(色あせあり)


スーツの肘や膝は擦れて破れやすいため、非常にご依頼の多い事例です。擦れることで周辺の生地に光沢が出ている場合が多く、修復に使った共布との色違いが出ています。同じように、自転車のサドルや鞄があたり負担のかかる箇所でも注意が必要です。



