1. はじめに
お気に入りのセーターやカーディガンが虫食い穴や引っかけで傷んでしまった経験はありませんか?
セーターなどのニット製品はウールやカシミヤなどの素材や、厚手・薄手・柄物といった種類によって扱い方が異なる、とても繊細な衣類です。
本記事では、素材別のお手入れと保管方法、種類別の購入・着用時の注意点、よくあるトラブル事例、そして当店で実際に行った修理事例をご紹介します。
2. 【素材別】お手入れ・保管方法とトラブル事例
●ウールニット
特徴とよくあるトラブル
- 丈夫で暖かいが、湿気や虫に弱く保管中に虫に食われやすい。
- 扱いやすく、様々な衣料品に使用されるが、摩擦で毛玉ができやすい。
- 着用を繰り返すうちに肘や袖口がすれて薄くなる。
- 洗濯で縮んでしまうことがある。
お手入れと保管
- 着用後はブラッシングでホコリを落とし、1日以上休ませる。
- 毛玉は引っ張らず、毛玉取り器でやさしく除去。
- 汗をかいた日は陰干しで湿気を飛ばす。
- シーズンオフは必ずクリーニング後に収納。
- 通気性のある布カバーを使用し、防虫剤は衣類の上に置く。ハンガー保管は避ける。
ウールセーター 虫食い


製品から抜き取った糸を使い部分的に編んで修復しています。
欠損が比較的激しいお品物でしたが、糸馴染みが良い生地だったため、そこまで目立たずに仕上げることができました。
●カシミヤニット
特徴とよくあるトラブル
- 柔らかく軽やかで肌触りもよいが、摩耗に弱く、脇や袖、バッグとの接触部が毛玉になる
- 毛玉や虫食いのリスクが特に高く、気が付くと穴があいていることが多い。
お手入れと保管
- 着用後は獣毛ブラシで毛並みを整える。毛玉は専用コームで優しく除去。
- 手洗いする場合は中性洗剤+冷水で優しく押し洗い。
- 必ず畳んで収納し、ハンガーは避ける。除湿剤と防虫剤を併用
- 薄紙を挟んで折ると型崩れ防止に効果的。
カシミヤカーディガン 焦げ穴


製品の脇のつなぎ目から抜き取った糸を使い、部分的に編んで修復しています。穴周りの焦げにより生地が硬くなっているところも切除して修復をしています。多少の編み目の歪みは出ていますが、そこまで目立たずに仕上がっています。
●アンゴラ・モヘア
特徴とよくあるトラブル
- 光沢があり柔らかいが、毛が抜けやすく、着用中、保管中に他の服に毛がつく
- 静電気が起きやすく毛羽立ちやすく絡まってまい、見た目が悪くなることも。
- 摩擦で毛足が寝てしまい、風合いが損なわれる。
お手入れと保管
- 着用後はブラッシングで毛並みを整え、毛足をつぶさないようふんわり畳む。
- 不織布カバーに収納し、他の衣類への毛移りを防ぐ
- 着用頻度を減らすことで毛抜けを予防。
- 洗濯は基本的にドライクリーニング。静電気防止シートを併用すると安心。
📌 修理事例:モヘアマフラーの裂け


こういった生地は編み目が見えにくいこと、多少編み目がゆがんでも毛羽により目立ちが軽減されることから比較的綺麗に仕上がることが多いです。今回は製品から糸が抜き取れましたが、糸が取れない場合は似た糸になり、色違いが出ることがあります。
3. 【種類別】注意点・トラブル・修理事例
●厚手ニット
よくあるトラブルと注意点
- 自重で伸びて型崩れしがち。→着用頻度を減らす。洗濯しすぎない。
- 肘や袖口がすれて薄くなる→連続着用は避ける。
- ハンガーにかけっぱなしで肩がポコッと出てしまう→基本平置きで保管を。もしくは肩が分厚いハンガーを利用する。
ゴム編みセーター ほつれ


ゴム編みと呼ばれる表裏が同じ見た目の編み方でできている品物になります。
こういった生地は編みが歪みやすく、また今回は糸が太いことから修復箇所付近の糸が重なる部分もに厚みが出ることで跡が目立っています。
●薄手ニット
よくあるトラブルと注意点
- ネックレスやバッグで引っかけて糸が飛び出る→ひっかからないようなデザインを選択する。
- 意外と目立つ小さな虫食い穴が複数できる→着用後はすぐに収納せず陰干ししてから。防虫剤も必ず使用する。
- 薄地のため摩耗に弱く、生地が透ける。→着用頻度を減らす。強い力を加えない。
薄手カーディガン 糸引き


飛び出た糸を元の位置に戻して修復しています。飛び出たことにより、糸に少し癖がついてしまっていることから、多少線が残っています。今回は糸が切れいていませんでしたが、糸が切れている場合は欠損部分に糸を入れる必要があります。仕上がり具合、金額に大きく影響するため飛び出た糸を切らないよう注意してください。
●柄もの
よくあるトラブル
- 柄の境目がほつれて糸が飛び出す。→着脱時に無理な力がかからないようにする
- 模様部分に虫食い穴ができ、柄が崩れてしまう。→汚れは落とし、防虫剤を使用して保管
柄ニットジャケット 虫食い


製品の見えないところから、白糸と青糸を抜き取って修復しました。多少の編み目の歪みは出ていますが、そこまで違和感なく仕上がっています。一般的なニット製品の場合、どちらか片方の色の糸しか取れないことも多く、その場合は似た糸で修復します。


同じ様につなぎ合わせて修復しています。こういった首回りや脇等のつなぎめはキズが大きくても比較的綺麗に仕上がることが多いです。最初キズが小さくても着用によって広がりやすいため、キズを発見したらお早めにご相談くださいませ。
●小物(マフラー・手袋・帽子)
よくあるトラブル
- 使用頻度が高く、汚れたり、穴が空きやすい。→数枚でローテーションを。
- 端がほつれたり、フリンジがほつれる。→過度に力をかけないように結び方を工夫。
- 帽子は汗染みや虫食い被害が出やすい。→適度にお洗濯を。クリーニングや手洗いで優しく。
カシミヤマフラー 虫食い


製品の端から抜き取った糸を使い、部分的に編んで修復しています。糸が細かいことから編み目の歪み、また透け感のある生地ですが、修復箇所は糸が2重になる分透け感が少なくなっています。目立ちは出ていますが、他の修復方法と比べるとなじみは良いです。

修復方法: 端から糸を抜き取り、織り直して色や柄を再現しています。糸が取れない色の部分は似たような色の糸を使って修復しています。
◎小さいものなら自分でも補修は可能です!
手芸用品店以外にも百均など、補修用の便利グッズは意外と簡単に手に入ります。小さなほつれなどお直しに出すほどではない、、、修理に出す時間がない、、、など、使ってみるのもよいでしょう。でも、、大切なものはまずは専門店に相談くださいね!

4. かけつぎ修理で蘇るニットたち
【素材の再現】様々な素材がありますが、同じ素材を使用して修理するため風合いや手触りが変わりません。キズができる前とあまり変わらない状態で再び着ることができます。
【強度】かけつぎ修理なら修理後も洗濯や着用に耐えられる強度を保ちます。
【デザインの復元】崩れてしまった柄や、ほつれた編み込みも甦ります。思い出の詰まったニットやブランド品を以前のデザインのまま使用することができます。
5. まとめ
ニット製品は素材や種類ごとにトラブルが起こりやすいポイントがあります。正しいお手入れ・保管で予防し、万が一の穴やほつれは早めの修理で解決できるものがたくさんあります。
当店ではウール・カシミヤ・アンゴラ・綿など、幅広いニット修理に対応しております。ニット製品はかけつぎ修理がとてもお勧めです。大切な一着を長く楽しむために、ぜひお気軽にご相談ください。



