これからの季節に大活躍のウールやカシミヤのコート、皆さん1着はお持ちだと思います。しかし、こういった生地は繊維が細く柔らかいため、着心地が良く優れた性質をもつ反面、毛玉が出来たり、虫が食べてしまったりトラブルが出やすい素材でもあります。長く綺麗に着続けるにはメンテナンスが重要です。この記事では、ウールの特徴や代表的なトラブルの対処法と、当店に修理ご依頼ナンバー1の虫食いトラブルについての詳細とコートを長持ちさせるメンテナンス法について解説します。
1. ウールコートの特徴と主なトラブル
【ウールコートの特徴】
①保温性 空気を多く含むため、優れた保温性があり、寒い冬でも暖かく過ごせるのが魅力です。
②吸湿性 湿気を吸収し、外に逃がす性質があるため、冬の寒さ以外に湿気にも対応する優れ素材です。
③耐久性 適切にお手入れをすれば、ウールは非常に長持ちします。丈夫で形崩れしにくいです。
④風合い 柔らかく、肌触りが良いのが特徴です。高級感のある見た目もウールコートの大きな魅力です。
【主なトラブルと対処法】
① 虫食い・カビ 汗、皮脂、食べこぼし、ホコリなど汚れが付着したまま保管したり、湿気が多い場所に長期間保管するとカビが発生したり、虫食いの被害に遭いやすいです。外出時の汗や湿気は一時的に干す。皮脂や食べこぼしなどの汚れはブラシや硬く絞った布などで取り除いてから保管しましょう。
②毛玉 ウール繊維が摩擦により絡み合い、表面に小さな球状の毛玉ができることがあります。定期的なブラッシングで摩擦による毛玉の発生を抑えることができます。また電動の毛玉取り器や専用のブラシで、できた毛玉を優しく取り除きます
③シワ 折り畳んだり、長時間圧迫するとシワがつくことも。低温のスチームアイロンを使用してシワを伸ばします。アイロンを直接当てず、スチームを当てるようにしましょう。また使用後はすぐに肩幅に合ったハンガーに掛けてシワの発生を防くことが大事です。
④変色・色落ち 直射日光や強い洗剤、摩擦などによって変色したり色落ちすることがあります。濡れたウールコートを乾かすときは、直射日光を避けて日陰で乾燥させます。洗剤はウール用の中性洗剤を使用し、洗浄力の強い洗剤は避けます。
ウールは天然繊維なので、着心地よく快適に過ごせる特性がある反面、お手入れをしないと様々なトラブルがあることがわかります。
2.ウールの大敵、虫食いの主な原因
去年のコートを出して見たら見たことがない穴が・・・薄くなっている変な模様が・・・。それらは虫が衣類の繊維を食べた跡なのです。虫の正体は主に「イガ」「コイガ」「ヒメカツオブシムシ」「ヒメマルカツオブシムシ」の4種類(幼虫)です。他の衣類からこれらの害虫は暗くて湿度の高い場所を好むため、クローゼットや押し入れの収納箱は要注意です。この中で一番数が多いのはヒメマルカツオブシムシで、4~5月頃に大発生します。起毛部分から、衣服の繊維が薄くなるように広範囲に食べるのが特徴です。
3. 虫食いを発生させないための、ウールコートの正しい保管方法
- 清潔に保つ: 季節の変わり目には、コートをクリーニングに出しましょう。
- 乾燥させる: クローゼットに保管する際、除湿剤を使用すると湿度を下げられます。衣類カバーはビニールではなく、通気性の良い不織布が良いでしょう。
- 害虫対策: せっかくクリーニングに出しても他の衣類から虫が移ってくる危険があるため、1着ごとの防虫袋がお勧めです!またクローゼットや収納ケースにも防虫剤も忘れずに。
- クリーニング店の衣類保管サービスを利用:一部のクリーニング店様ではシーズンオフの期間中保管してくださるサービスを行っています。追加料金がかかる場合がほとんどですが、温度や湿度、光の加減まで様々な調整をして衣類に最適な環境で保管してくれるので、虫食いやカビ、ダニの心配がある方はご利用を検討してみても良いと思います。
4. 虫食いの予防策
- 害虫のチェック: 定期的にクローゼットや収納箱をチェックし、害虫の兆候がないか確認しましょう。
- 害虫が住みにくい環境:定期的に扉を開けて乾燥を。虫のエサとなるホコリや汚れを掃除しましょう。
- 専門家のアドバイス: 早期の害虫の発見や対策が重要です。住まいの害虫駆除や、クリーニング店の衣類防虫加工等、専門店に相談するのもおすすめです。
5. 虫食いが発生した場合の対処法
- 早期発見: 害虫の被害は早期発見が鍵。着用頻度が低いコートも時々クローゼットから出し、全体の状態を確認しましょう。
- 修復方法: 小さな虫食いなら、自分で繕うことも可能です。大きなダメージや複雑なキズの場合は専門家に依頼するのがベストです。
6. ウールコートの日常的なケア
- ブラッシング: ウールコートは、着用後のブラッシングで表面の汚れや埃を取り除くと良いでしょう。天然の動物毛のブラシは静電気が起きにくく、素材が傷みにくいのが特徴です。ブラッシングの際は繊維の流れに沿って、上から下へ優しくブラッシングすることにより、綺麗に整えられます。
- 虫干し: 定期的にコートを干して風通しを良くすることで、良い状態を保つことができます。取り込む際はブラッシングを忘れずに。また着用後にはすぐにクローゼットには入れずに湿気が取れるまで風を通しましょう。
7. まとめ
虫食いは予防が最も大切。適切なケアを心がけることで、ウールコートを長く美しく保つことができます。毎日のちょっとした努力が、大切なコートを守る鍵となります。
こちらの記事が、ウールコートの正しいケア法を身につける一助となれば幸いです。
さいごに
それでも出来てしまった虫食いは、、、当店にお任せください!